◆◇◆………………………………………………………………………………………… 4.連載記事「よくわかる子ども・子育て支援新制度 第19回」 …………………………………………………………………………………………◆◇◆ 平成27年から始まった「新制度」ですが、この6月は内閣府からの新規情報もなく、 制度としての動きはほぼありませんでした。 文科省による「園務改善のためのICT化支援」については、事前の需要調査が行われており、 都道府県を通じて国での取りまとめがなされるようです。本年度予算では500園分しか計上されていないので、 希望が多いようであれば、来年度以降にも継続することがあるかもしれません。 (1)新着情報 前号以降、内閣府子ども子育て本部HPでの新情報は執筆時点(6/28)ではありません。 ただ昨年までの例では、6月末には「事故報告データベース」の最新データが公表されます。 今年度から、報告様式が変更され、集計表のフォーマットも変更される予定です。 「特定教育・保育施設等における事故情報データベース」の公表について http://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/outline/index.html#database (2)今月は内閣府から新しい情報が発表されませんでしたので、6月22日に行われた 社会保障制度改革推進会議から、子ども子育て支援の状況・子育て安心プランについての報告をご紹介します。 社会保障制度改革推進会議は内閣に設置され、子ども・子育て関連3法や医療・介護・年金制度などの 社会保障改革の進捗状況を確認、検討する会議体です。 第7回の会議が、6月22日に実施され、進捗状況報告がなされました。 社会保障制度改革推進会議 開催状況 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyou_kaikaku/kaisai.html >内閣府:子ども・子育て支援の状況について ○ 0.7兆円メニューは平成27年度の施行時よりすべて実施されている ・認定こども園、幼稚園、保育所、地域型保育等の量的拡充 ・3歳児の職員配置を改善(20:1→15:1) ・私立幼稚園・保育園等・認定こども園の職員給与の改善(3%) ・保育標準時間認定に対応した職員配置の改善 ・研修機会の充実(年間2日) ・小規模保育の体制強化 ・減価償却費、賃借料等への対応 ・放課後児童クラブの充実 等 ○ 0.3兆円超メニュー ・私立幼稚園・保育園等・認定こども園の職員給与の改善(2%)【平成29年度より実施】 等 注:未実施のメニューとしては、 1歳児の職員配置の改善(6:1→5:1)や、 4・5歳児の職員配置の改善(30:1→25:1)、 保育支援者の配置 等がある。 ○ 上記以外 ・仕事・子育て両立支援事業(企業主導型保育等)の創設【平成28年度より実施】 ・技能・経験を積んだ職員に対する4万円等の追加的な処遇改善 【平成29年度より実施】 等 ○ 保育士の処遇改善については、平成24年比で+10%(月額約32,000円)と、さらに最大4万円の改善がなされている。 ○ 企業主導型保育事業(仕事・子育て両立支援事業費補助金) 平成29年度末までに5万人の受け皿整備を目標とし、28年度中に871施設・20,284人分の助成が決定された。 多様な就業形態に対応し、週2日程度の就労、夜間保育、休日保育等の多様な預かりが実施されている。 複数企業での共同利用や、地域枠の設定などもあり、待機児童減少に寄与している。 ○ 幼児教育の段階的無償化の取組み 平成26年度以降、幼稚園保育料の引き下げや、低所得世帯の保育料の軽減を順次拡大させている。 資料6 子ども・子育て支援の状況について(内閣府提出資料) http://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyou_kaikaku/dai7/shiryou6.pdf >厚生労働省:「子育て安心プラン」について ○ 平成29年4月1日時点の待機児童の状況(暫定値)について 未提出の自治体もあるが、都道府県別では東京約8,900人、沖縄約2,300人、千葉約1,700人、兵庫約1,600人、 福岡約1,300人、埼玉約1,200人、岡山約1,100人、宮城・神奈川・大阪の約800人が、多めのところ。 ○ 「子育て安心プラン」 待機児童の解消=東京都をはじめとする意欲的な自治体を支援するために平成30〜31年度で約22万人分の予算を確保。 待機児童ゼロ(平成32年度末までに)達成後は、ゼロを維持しつつ、5年間で「M字カーブ」を解消させる。 ※「M字カーブ」とは、女性の労働力率を年齢階級別ににグラフ化した際にあらわれる、M字に似た曲線のこと。 一旦就業した女性が、子育て年代になると一旦職を離れ、その後再び就業する状況を示すもの。 平成30年度から34年度末までの5年間で、女性就業率80%に対応できる約32万人分の受け皿整備(平成33〜34年で10万人増)を行う。 6つの支援パッケージの主な内容 1 保育の受け皿の拡大 都市部対策、既存施設利用、多様な保育の推進 2 保育の受け皿拡大を支える「保育人材確保」 保育補助者を育成し、保育士の業務負担を軽減する 3 保護者への「寄り添う支援」の普及促進 さらなる市区町村による保護者支援を行う 4 保育の受け皿拡大と車の両輪の「保育の質の確保」 認可外保育施設を中心とした保育の質を確保する 5 持続可能な保育制度の確立 保育実施に必要な安定財源の確保 6 保育と連携した「働き方改革」 ニーズを踏まえた両立支援制度の確立を目指す 「子育て安心プラン」の支援施策のポイント @待機児童の7割超が1、2歳児である → 1、2歳児を中心に受け皿整備を推進する 促進策:幼稚園における2歳児の受け入れ拡大、小規模保育の普及、家庭的保育の地域コンソーシアムの普及、企業主導型保育の推進 A女性就業率、保育申込者数、1、2歳児の保育利用率は、加速化プラン前を比べ、約2倍の伸び → M字カーブ解消のため、助成の就業率80%にできる受け皿整備 平成34年度末までの5年間で約32万人 B待機児童は「都市部」に多い → 土地の確保、既存施設の活用の促進 → きめ細やかなサービスの展開 資料7 「子育て安心プラン」について(厚生労働省提出資料) http://www.kantei.go.jp/jp/singi/syakaihosyou_kaikaku/dai7/shiryou7.pdf (3)雑感 前回まででもご紹介しているように、子ども子育て支援新制度は、幼児教育・保育を取り巻く環境が 地域によって大きく異なることを前提とし、それぞれの地域・自治体が、それぞれの状況に応じて 新制度を上手に使っていくことを念頭に置いています。 ただ、上でご紹介したような「国」の会議になると、地方(都市部以外)の様々な実情を議論することは 少なく、都市部を中心とした「待機児童対策」が中心になる傾向があります。 より多くの国民のニーズ、関心に対応するものですので当然と言えば当然ですが、 地方の少子化対策、つまりは地方の活性化をどう進めて行くのか、都市部への人口集中の解消などについても 議論を進めるべきではないかと感じます。 保育士不足への対応も、「保育士の処遇改善をさらに充実させる」のかと思いきや、「保育補助者を育成」する というのですから、「保育」の重要性や質の確保の難しさについて、まだまだ認識が甘いのではないでしょうか。 リンクを記載した会議資料には、もう少し具体的な施策についても記述がありますので、 お時間がありましたらどうぞご覧になってください。 記事担当 糸山敏郎 掲載された記事を許可なく転載することを禁じます。 Copyright (C) 2016 Hyoubo Kaikei Center. All Rights Reserved. |